天然ガス自動車のデメリット(2004年型版まとめ)
【天然ガス自動車のデメリット-経済性以外の全て】
【実際の燃料代】や、【天然ガス自動車のメリット】でご紹介した事とは裏腹に、色々なデメリットも存在します。以下は2004年製造のメーカー純正車に乗っていた私の個人的な感想です。全ての天然ガス自動車がそうであるという訳ではありませんので、ご了承下さい
【2019年7月9日補足】こちらでの記事で書きました「2004年型CNG」は、発売後15年を経た現在、高圧ガス容器法の「使用期限15年」に抵触する為、これ以降は高圧容器を交換しない限り使用する事ができません。あくまで私個人の備忘録として留めていただければ幸いです。「天然ガス自動車のメリット・デメリット2019年度版」も併せてご覧下さい。
■重い、走らない、積めない
ガス車はガソリンに比べて少しパワーが落ちます。因みに最高出力はガソリン車で46ps/7200rpmなのが天然ガスでは39ps/6400rpmという具合、加えて重いガスボンベを2本積んでいるから常に大人を二人余計に乗せている様なものです。信号からの発進時は常に他車の流れに遅れまいと「前のクルマにぶつけるつもり」でアクセルを踏み込んで、やっと「丁度いい」位でした。加えて、最大積載量は、普通のバン(350kg)に比べて100kgも少ない「250kg」でした。この高圧容器による重量増加。4トントラックならば「ドラム缶1本程度?」最大積載量から比べれば大した重量ではないのですが、。軽にとってこの100kgの差は結構大きいのです。(しいて言えば、積雪時に「重し」となってくれて、空車時でも安定しました)
■暑い、熱くなる
ガスを燃料とする代わりに、液体の燃料の役目の一つである「燃焼室の冷却」効果が得られません。なのでよりエンジン内に熱がこもる形になり、それとの距離が短い軽トラでは、熱がひしひしと上に座るドライバーに伝わってきます。価格を抑える為にグレードの低い車がベースになっている(=遮音、遮熱材が少ない)もあるでしょう。マフラーの真後ろに立つと、ガソリン車では考えられない位に排気が熱いのを感じます。同時に荷台の床-ボンベの無い後ろの方の床も熱くなります。なので「生もの」を積む時は要注意です。真夏の猛暑日の時など、エアコンを入れると、吹き出し口の冷気よりもアイドルアップされたエンジンの熱気の方が強いから、どうしても我慢できない場合を除いて、エアコンの使用そのものを我慢したりしなければなりません。真夏の忙しい頃の使用では、文字通りの「ガス欠」にならない様、こまめにエアコンを切って対応していました。「ベタ踏み坂」も同様でした。
■うるさい
これまた「軽トラ」故の事でしょう。
本来「静けさ」がCNGのメリットの筈ですが、上記と同じ自由で、ある程度の速度以上になるとモロにエンジンからの音が室内に入ってきます。(逆に低中速域での加速や走行では、ガス車らしい「静かさ」を感じます)ATが3速の為、そこそこのスピード粋では煩くてラジオも聴けない程です。(お陰で音楽をすっかり聴かなくなってしまった)点検整備等で代車として貸してくれたガソリン仕様のバンでも同様でしたが、同じATでも3速と4速でこうも違うのかと実感した次第です。
■スタンドが少ない、補給に時間を要する
乗り始めた時からも、近隣で既にスタンドが3件閉鎖される等、補給施設探しには更に厳しい状況になっています。少なくなったスタンドにトラックが集中する様にになったため、特に夕方帯には先行者の補給に待たされる事が少なくないです。又、補給の為だけに遠回りする時間も必要でした。
軽トラックそのものには補給にはさ程時間はかかりませんが、4トントラックあたりだと満タンにするのに5分はかかります。一度だけ大型トラックの後に続いた時は悲惨そのものでした。何せ自販機でカップめんを食べて煙草2本吸ってもまだ終わる気配が無かった位でしたから…(長距離の大型トラック向けの様に「2本挿し」が出来ない)
★ただ、敢えて天然ガス自動車の「名誉」の為に追記させて頂きますが、ハイブリッド車も含めたエコカーでは、「重い」も併せて概ね上記の様な不便さは常に発生します。
トヨタ「MIRAI」の水素の充填風景(カーセンサー・NETより引用)
燃料電池車の為の水素ステーションは、
お膝元とされる私の街ですら、2017年10月の時点ではたった5箇所。加えて燃料を満タンにするのに「MIRAI」で3分かかると言われています。又、車体重量の1,850kgは、クラウンより約200kgも重く、プリウスですら約1,480kg。内バッテリーが約120kgと言われています
(NEXCO東日本より引用)
電気自動車は、戸建てで自前の充電設備を整えられる方を除けば、全て最寄りの充電スポットを利用する事になります。こちらは数はもう爆発的といって良いくらいに増えているのですが、充電そのものに時間を要し、私がガス車の為に毎日強いられた「遠回り」と同じかそれ以上の待機時間を強いられます。
又、急速充電を繰り返す事は確実にバッテリーの劣化を招き、やがて交換か買い替えに迫られます。「温度に気をつけていれば問題ありません」とメーカーは説明しますが、真夏のお盆の規制ラッシュでどうやって気をつけろと?
■(公用・私用に関わらず)行動範囲が狭くなる
ガソリンでは走れないので、常に入れられるガス・ステーションの位置と営業時間には気を使わされます。
仕事が忙しいので乗っている暇が無くなった為に乗用車を処分してしまった事もあり、(週一の休みの日のお買い物の為だけに乗用車を持てますか?)。必要な時にはレンタカーを利用していました(それで十分でした)
又、軽貨物運送事業の立場では、「足が短い」ことは、仕事が限られる事も意味します。
幸いにも「宅配」という、短距離の仕事で「稼げるエリア」を回れた事により続けられる事が出来ましたが、、何時どんな理由で仕事が続けられなくなり、新たに仕事探しや営業をしなければいけなくなるとも限らない立場です。「この仕事は往復で何km走るから、ガス車のお前じゃ無理だ」ではシャレになりません。
一応走行可能距離は約275kmとなっていましたが、私の場合は約200kmが目安でしたし、休みの日に50km位走っても翌日の配送には影響しないのですが、「燃料が減ると重く感じる」特性から、仕事以外では余り使いたくなかった、というのが本音です。
でも、やはりこれが一番じゃないでしょうか。
■業務によってはモトが取りにくい
私の場合は中古車を安く買って使用し、十分すぎる程の費用対効果を発揮しましたが、新車で買おうとすると、ベース車の倍近くの出費を強いられます。走行距離の多い用途では十分に回収可能ですが、逆に多すぎても航続距離が問題になります。
等等…以上は全て、2004年型ハイゼット・カーゴCNGを6年乗った私の感想です。
良かった事、悪かった事も含めて、これらの経験が、新しい車両を決める判断基準となりました。
(2019年4月改訂)
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