「脱・炭素社会」に向けて~天然ガス自動車の未来は?
コロナ渦の中でにわかに騒ぎ立てられたのが、タイトルの言葉。
それに加えて僕が気になったのが、「天然ガス自動車」はもう話題にもなっていないという事。
というより、クリーンディゼルであれ、ハイブリッドであれ、最早「燃やす」という事自体に嫌悪感を覚えなければならない時代になったというべきでしょうか。
ただ環境省が公開した資料「各国の長期戦略の概要について」によると、
カナダやフランスは、天然ガス自動車の普及も支援しています。
日本もいきなり忘れられるという事はないでしょうが、補助金の助成率が下がる事は避けられないでしょう。
以前にも書きましたが、とにかく天然ガス自動車に改造する為の費用がかかり過ぎます。
イキナリ1億総電気自動車は無理にしても、これから先に起こるであろう実用化可能な技術革新を見ると、ただ驚くばかりです。
2031年には走行中でも電気自動車が充電できるようになり
2032年には交換不要で低コスト、充電1回で500km走れる自動車用蓄電池が開発
(1月1日付日本経済新聞より抜粋)
その中で気になるのは、私も含めた個人や(特に物流)企業の「立ち位置」じゃないでしょうか。
用途や将来、コスト等様々な要素を絡めてベターな選択をして行けば。
改めて原点に戻りますが、私が事業車に天然ガス(バイフューエル)を選んだのは、前車両(メーカー車)の経済的優位を維持したかったのと、軽車両にディーゼルもハイブリッドも無かった事。LPガスではスタンドの営業時間が合わず、電気では1日どころか半日ももたないからです。
業務用途で考えた場合、水素、電気、天然ガス。それらを用いた車両を実戦投入すれば必ず「稼働率」に影響し、しいては売上げや人件費(残業代)に影響します。
特に我々傭兵(傭車)が求める相棒の理想は、とにかく稼働率が高い事。実戦現場に長く居られて、補給や整備、修理の必要の際も可能な限り短い時間、且つ安く済む事。漫画「エリア88」の主人公カザマ・シンの愛機「ドラケン」のごときと言えば解りやすいでしょうか(古くて余計分からない?‥(笑))スタンドが遠く、一般の整備工場に入庫出来ない改造ガス車は残念ながら見事に不合格ですが、カタログモデルが消滅した現在は他に選択肢がありません。
それと補給設備を新たに設置する際に一番低コストと予想されるのは「電気」。コンプレッサーを回してガスを圧縮し(電気代)、それをタンクに貯め込み(土地代)、補給の為の人員を配置する必要のある(人件費)ガスとは雲泥の差と言えるでしょう。
2021年はコロナに加えて「寒波」にも見舞われる年明けとなりましたが、そこで露呈されてしまったのが、発電の燃料になる「LNG」の供給不足だとか。天然ガス自動車が環境面では有利と謳われていても、「でも日本には資源が無い」=安定供給が保証されない。が垣間見えてしまった気がします。その割には、イランを除けば決して「天然ガス自動車の普及している国」と「天然ガス自動車がが多い国」が一致しないのが疑問ですが。
【参考資料】
世界の天然ガス生産国・国別ランキング
天然ガス自動車 世界の普及状況(日本ガス協会HP)
でも、だからと言ってこのまま「過去の遺物」になっていくのはどうでしょう。電気自動車の時代は避けられないにしても、電力供給のインフラが整うまでにはまだ膨大な時間が掛かります。それにはまず
1.改造費の低価格化(くどいようだが高圧容器!)
2.大口顧客等に移動式ステーションを活用する等のサービスの拡充(法的にどうか調べないと分かりませんが、水素が既に行っているし、冬の灯油の移動販売も似たようなものだから多分可能でしょう)
3.独アウディが供給している様な、よりCO2排出量の少ない「人工ガス」の開発と導入。
これ位はやって欲しいと思います。
現政権は「脱炭素」を掲げたその合間にチラホラと「小型の原子力発電」をのぞかせていますが、環境大臣は原発反対のオトーサンに歯向かう気ね?(笑)
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