天然ガス自動車(CNG車)のスタンドの問題(2)
CNG車を紹介するサイトでこうしたネガティブな事例をあげるのも何ですが、稀にとはいえ、実際に起こった、ガソリン車乗りでは経験出来ない珍体験もいろいと経験して来ましたので、ご紹介します。
【充填機が壊れる(壊される)】
ある日いつもの様に仕事を終えて夜遅くにスタンドに向かうと、…ガスの充填機の辺りだけ何故か暗い。それに何なのあのカラーコーンは?
スタンドのお兄ちゃんが小走りでやって来て、申し訳けなさそうに。「ゴメンなさい」
勿論あってはいけない事ですが、ホースを繋いだまま発進、というのは、スタンドではそんなに珍しい事では無い様です。
天然ガス自動車というのは、その燃料のガスの充填に、液体のガソリンや軽油を流し込むよりも長い時間を要します。私の様な軽自動車ならば1分かかるかかからないか、ですが、4t車クラスになると5分かそれ以上かかります。そこの場合、充填は一度に1台しか出来ないので、次のクルマがやって来て後ろで待ってる状態が珍しくありません。配送中とかであれば、尚更そのロスタイムを恨めしく思っている事でしょう。
で、やっと満タンになったぁ!と慌てて発進して…という具合です。
高圧のガスを扱うガススタンドには「セルフ」はありませんので、ホースの着脱作業は
どこでも常にスタッフが行います。
幸いまだ近くの別のスタンドが開いている時間でしたので、慌ててそちらに向かい、事なきを得ました。
この場合、復旧には早くても1週間前後かかります。
ガススタンドの場合、補給に必要な「ディスペンサー」はその全てが特注品で部品も高価です。ホース1本が50万円以上とも言われ、当然交換や点検の作業もメーカーの専門スタッフが遠方からやって来る為、部品代と併せて相当な費用がかかると予想されます。(余談ですが、水素ステーションで使われているそれは天然ガスのそれより更に高圧の為、「もっと高い」そうです)
■でも上記の様な事故は立派な「消防法違反」で厳しく罰せられますので、ガソリン車の方もご注意を
又ある日行ったら天然ガスのトラックの保有台数が運送業界で一番多い○○急便のトラックがずらり。営業所内の充填施設が壊れた為にやむなく外に入れに来たのだとか。(壊れたんじゃなくて「壊した」んでしょう?)
我々「常連」にとってはいい迷惑です。
【施設の老朽化】
多くのガススタンドの場合、ガスは一般家庭用と同じ供給ラインから施設内に引かれた
ガスを、コンプレッサーを使って圧力を引き上げ、蓄ガスユニットに貯蔵された後に前述した「ディスペンサー」を使って自動車に供給されます。
(画像参照:日本ガス協会より)
通常問題になる事はありませんが、稀に他所で入れられない、明日設備の点検なので入れられないとかで車両が殺到する事態になると、時として蓄ガスユニットの能力を超えてしまう事になります。となると、コンプレサーがフル稼働して再び車両に充填出来る圧力になる様に頑張るのですが、その装置が古くて劣化してたりすると「なかなか圧力が上がらない」事がまれに起きます。「もうそこしか開いていない」時間帯でそれが発生してしまうと、もう悲惨です。何せ4トントラック1台充填するのに20分以上かかるのですから…
ただ、これもまた事実として。
数が少ないと言われるガススタンドですが、減少率はガゾリンスタンドの方が
はるかに上回っています。
この20年でガソリンスタンドの数は31,467件と、ピーク時の1994年の60,421箇所から約半分に減っているそうです。(2017年9月18日。日本経済新聞)
燃費の良いクルマの普及で需要が減っているからですが、実際私の宅配での配達エリアもガソリンスタンドは1件も無く、隣町に唯一営業していたそれは、週末になると何時も長蛇の列でした。
当時と現在の車両で、代表的な国民車で比べるとこうなります。
【トヨタ・カローラの場合】
1997年4月(平成9年) XEサルーン E-AE91 1498cc 3AT FF 15.6km/l(117万円)
2017年9月(平成29年)HYBRID G“W×B”(ハイブリッド) 33.8km/l(220万円)
※1997年資料については、goo-net.comより参照
この20年で燃費は何と倍に、そうなるのもやむを得ない気もします。
ガスが補給できなくて、翌日に仕事が出来なかったり、遅れた事は一度もありませんが、「何かあってもいい様にガソリンでも走れたらなぁ」と時折思う様になったのは確かです。
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